群馬県社会的養護自立支援事業
児童養護施設等や里親家庭で暮らしたことのある
すべての人へあなたの「いっぽ」を応援します。
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ごあいさつ
ごあいさつ
皆様は、施設育ちの子ども・施設出身の方に対して、どのようなイメージを抱いているでしょうか?「情緒的な温かさに欠けた環境で育っているかわいそうな子ども」「何か闇を抱えていそうな特別な人」といったイメージでしょうか?それとも「困難な環境下で生き抜いてきた、称賛されるべきサバイバー」といったイメージでしょうか?
いずれの方向であれ、個々人の“属性”に基づいてラベリングを行うことは、問題を複雑化させます。施設出身者たちは、「普通に扱って欲しい」と口にすることが多いのですが、この「普通」とは一体、何でしょうか?
施設出身であろうがそうでなかろうが、あるがままを受け入れてもらえない状況というものが、いかにも人からエネルギーを奪い去ってしまうであろうことは、想像に難くありません。確かに、施設に入るに至る経緯の中で、多くの子ども達が複雑な傷つき体験を持っていて、様々な生きにくさを抱え、社会的な適応能力が弱められてしまっている子どももいることは事実です。
このような症状の根っこは“施設そのもの”にあるのではなく、“傷つき体験”にあり、施設に入ることとなった子どもに対しては、本来最大限のトラウマケアが提供されなくてはならないのですが、米国では広く実施されている「フォスターケア外来(社会的養護下の子どものための心理フォローアップ外来)」は、日本ではおよそ存在していないのが実情です。
「学力を育むことがかなわなかった子ども」「社会に順応できるだけの生活やコミュニケーション能力を身に着ける機会を奪われた子ども」「乳児期の愛着形成の段階からハンディキャップを抱え、その後もケアが届かずにますます精神的なトラウマを深めている子ども」など、長期的なケアが必要な子どもほど、大学進学などおよそかなわずに、尾根を滑り落ちるように早期に社会に出て自立・自活することを求められることとなります。
そのような子どもたちは「大人になったから自己責任」と突き放される一方で、社会一般からは「役に立たない人間」「常識のない人間」「信頼出来ない人間」「関わりたくない人間」とみなされ疎外されやすい状況にあります。またたとえ適応的に働くことが出来ていた子どもであっても、いざ何かのトラブルが発生すると「施設出身者」として、周囲の偏見が浮き彫りになることが少なくないのです。
そして何より問題なのは、人間関係のトラブルなどで仕事を辞めてしまった場合、一般的な家庭であれば、家族からのバックアップで立て直しがきく場合でも、寄る辺のない子にとっては、生活そのものが一瞬にして破綻してしまい、立て直しがきかないことも多いのです。
「私は家族になど頼っていない」という方も多いかもしれません。ただし、「いざとなれば頼る先があるものの、頼っていない状況」と、「頼るリソースを物理的に持っていない状況」というのはまるで異なります。いざというときに心の支えとなる「見えないセーフティネット」のない場合、その子たちは失敗しやすい一方で、少しの失敗も許されない状況下にあることをどうか知って欲しいのです。
「寄る辺」としてのアフターケアの充実は、若者であれば当たり前の「小さな失敗」を許容し、安心して再チャレンジを行うための重要な枠組みでです。このような枠組みを持たず小さな失敗を許さない社会は、巡り巡って強烈な負の影響を社会に突き付けることとなります。施設出身のヤング達が、日々を必死に食つなぐために夜の社会に身を投じ搾取され続けたり、利用され犯罪の一翼を担わされることも稀ではないのです。
「普通」を支えること。困っている子にジャッジメントを下さず、ただあるがままに接する事。その子にとって必要なタイミングで、必要なサポートを行う事。この「普通」が許されない社会こそ「普通ではない」と私は考えています。
私達は支援者であるとともに、支援を受ける立場でもあります。NPOへの補助が諸外国に比べ驚くほど脆弱な日本において、当団体もご多分に漏れず、極めて危うい経済基盤のもと、何とか綱渡りで事業継続させている状況にあります。どうか皆様の力を少しでも本来最も手厚いケアを受けるべき子ども・若者に、そして可能であれば、無限の可能性に溢れた彼/彼女らを支える我々の活動に、有形無形にお貸しいただけましたら幸いです。
2022年3月31日
一般社団法人 ヤング・アシスト
代表理事 溝口 史剛
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